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肺胞蛋白症とは?

肺胞蛋白症とは?

どんな治療をするの?

1.自己免疫性肺胞蛋白症

症状が軽く日常生活に支障がなければ、定期的な経過観察で構いません。咳や痰がある人では、ある種の痰が出やすくなる薬(去痰薬)を内服しても良いと思います。

息切れが出てきて、仕事や日常生活に支障があったり、動脈血の酸素濃度が下がってくるようなら、時期をみて肺胞にたまったサーファクタントを除去する必要があります。その方法には以下の二つがあります。

全肺洗浄

片側の肺全部を満たすように生理食塩水を入れ、肺に軽く振動を与えてサーファクタントと食塩水を混ぜた後、液を回収することで文字通り肺を洗います。手術室で全身麻酔をかけ、麻酔科の医師と共同で行います。1日で両肺を洗浄する場合と、1週位の間隔で片肺ずつ2回に分けて行う場合があります。サーファクタントを除去する方法としてはもっとも確実で、昔から現在まで肺胞蛋白症治療の標準的な方法です。しかし肺に感染症があるとそれを広げる恐れがあり、行うべきではありません。また肺が部分的に壊れていると、洗浄が不十分となり、洗浄後の合併症も起きやすくなるので実施できないことがあります。洗浄中に酸素が極端に下がることが予想される場合には、特別な準備が必要です。全肺洗浄が適しているかどうかは、経験ある呼吸器科医と麻酔科医の専門的判断が必要です。

反復区域洗浄

肺全部ではなく片肺の一部を気管支内視鏡を使って何回にも分けて洗浄する方法です。のどと気管支に局所麻酔をかけて、意識がある状態で行いますので外来でも可能です。動脈血の酸素の低下がさほどではなく、サーファクタントがたまっている部分が洗浄に適している場合、全肺洗浄が患者さんの都合などで困難な場合などに行われます。しかし、効果は全肺洗浄と比べると不確実です。

その他、自己免疫性肺胞蛋白症だけに適応となる治療法として、GM-CSF吸入療法あるいはその皮下注射療法があります。日本で過去に行われた吸入療法の臨床試験では一定の効果が証明されました。しかし、GM-CSFは日本の厚労省が承認している医薬品ではなく、現在は個人輸入による自由診療か、医師による自主臨床試験の形でしか使用できません。

2.続発性肺胞蛋白症

原因となる疾患の治療をまず行います。それだけで肺胞蛋白症が改善することもあります。急いで肺胞蛋白症だけでも良くする必要がある時には、自己免疫性の場合と同様に肺を洗浄します。

3.先天性肺胞蛋白症

異常な遺伝子の種類によって治療法が異なります。骨髄移植が適応となったり、正常なサーファクタントを吸入したりする場合があります。また必要に応じて肺洗浄を行いますが、肺の働きがひどく悪くなると肺移植が必要となる場合もあります。

4.酸素療法

どの種類の肺胞蛋白症でも悪化によって動脈血の酸素濃度が低下すると酸素吸入が必要となります。肺胞蛋白症自体に効く治療ではなく、あくまで酸素を補給することが目的です。開始の目安は安静時の動脈血酸素飽和度(酸素を運ぶ赤い色素が酸素で満たされている割合。簡単な機器で測定できます。正常は97%以上)が90%以下である場合、あるいは安静時はそれ以上であってもからだを動かした時や夜間に90%以下になる場合です。適切な酸素量は医師が種々の場面で酸素飽和度を調べて決めます。家に酸素を供給する設備を備える必要があり(在宅酸素療法、別名HOT)、本人の理解と家族の協力が必要です。

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